モイの一生

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むかしむかしあるところに、モイという一頭の牛がいました。 モイは、いつも決まった時間になると、お兄さんから餌をもらいます。 お兄さんは、とても優しくていつもモイに優しくしてくれます。 自分の部屋が汚くなってくると、いつも優しく声をかけながら、自分の周りを掃除してくれます。 そんなお兄さんをモイはとても信頼していました。 ある日、モイは隣の部屋の友達と話していました。 すると、お兄さんが入って来て、その友達の頭を撫でてどこかへ連れてってしまいました。 モイはとても悲しくなりました。 なぜなら、今までの友達も同じように連れていかれ、会えなくなってしまったからです。 モイは、なぜ友達を引っ越しさせるのかが分かりませんでした。 仲良しなのに、どうして一緒にいさせてくれないのだろうと、友達が連れていかれるたびに思いました。 それから数日経ったあと、連れていかれた友達の部屋に、また新しい牛が入ってきました。 モイの明るい性格から、2人はすぐに仲良くなりました。 新しく入って来たのは、コーダという小さめの牛でした。 コーダは親から離されてここに来たと言いました。モイは、君だけじゃなくてここにいる全ての牛がそうなんだと言いました。 ふとモイは、お母さんを思い出して悲しくなりました。「お母さん・・・」 そんな落ち込んだ顔のモイをはげますようにコーダが言いました。 「大丈夫だよ絶対にもう一度会えるよ」 それを聞いたモイは、はっとなり、友達が連れていかれたこと思い出しました。 「そうだ、アイツらも親に会いに行ったんだ」 と興奮気味にモイは言いました。 コーダはわけがわかりませんでした。 「アイツらって?」 コーダが聞きました。 「連れていかれた牛たちだよ。ここに何年かいるとたまに連れて行かれる牛たちが何頭かいるんだよ。 」 「きっといい具合の歳になると親のところにまた会いに行けるんだよ。」 と、モイは目を輝かせて言いました。 「じゃあ僕も?」 コーダが嬉しさを顔に出しながら言いました。 モイは、 「うん!きっと会えるよ」 と力強く言いました。 それからというもの、モイはお母さんに会える日を楽しみに毎日ワクワクしながら待っていました。 雨の日も、雪の日も、ジリジリと太陽が照りつける暑い日も、ずっと待っていました。
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