あいさつの手紙

1/2
前へ
/2ページ
次へ

あいさつの手紙

5月24日。 僕は見慣れた夜空を眺めて思い出す。 君が僕に残してくれたもの、与えてくれたもの、見せてくれたもの、感じさせてくれたもの。 どれも僕にとっては忘れられない思い出だ。 どれほどの感情を君は与えてくれただろうか? いつだって君は冷たかったよね。 甘えてくれたことも、数えるくらいしかなくてさ...いつも好きになれなかったよ。 なのに、なのに僕は君を愛してたみたい。 何故なのかな。 そんな君だったけど忘れることはできないよ。 なぜなら君は僕のかけがえのない友達だから。 いつだって僕は君を心から消し去ったりしない。 そうだ、あの夜のこと覚えてる? 君はすまし顔で僕の隣でいきなり寝息を立て始めたし...。 ほんとびっくりしたよね。 だけどなんか、ほっ、と暖かい気持ちになれたんだ。 それから少したった雨の日。 雨の日はあの丘に行かないはずなのに僕は何故か行ったんだよね。 土砂降りなのに星空も見えない空をずっと見上げていたんだ。 ただ見上げてたんじゃない。 泣いてたんだ。 その声を聞いたからなのか、君は隣に座ってくれた。 僕はそれに気づくと君に、僕の秘密を打ち明けたっけ。 そしたら君が 「泣いてもいいよ。」     
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加