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それにしても、死んじまった俺には暑さ寒さなんぞわかりゃしねぇはずなんだが、やっぱりどうにも蒸し暑い。生きていた頃の記憶がそうさせるのかもな。猫は三日で忘れるだと? 馬鹿言うな。
お天道さんが癇癪でも起こしたみてぇにぎらぎら照りつけやがるから、俺はまるでカラカラの剥製にでもなっちまいそうに干からびてる。見てみろ、あの何にもねぇ田舎道の果てをよ。ぼんやり見えるとうもろこし畑が、ゆらりゆらりと揺らめきやがる。挙げ句の果てに、蝉の奴らがミンミンジイジイ大合唱ときたもんだ。
だから、俺としたことがだらしなく腹を見せて腰掛けの上でぐったりしていたんだが、いよいよ我慢ならなくなって店の中へと引っ込むことにした。
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