茨城でのトレーニング

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加奈と理紗は安曇航空機の事業所の建物の中に入った。 そしてエレベータに乗り三階に上がる。 そこは滑走路が見渡せるカフェテリアになっていた。 「朝の大学から休みなしでしょ。お手洗い行って来て。少し休憩しましょう。でも十五分だけね」 理紗は頷くとカフェテリア横の化粧室に向かった。 トイレの個室を出た理紗は、手を洗いながら鏡に映った自分の顔を見た。 「よし、いい顔だ!」 そこにはエンジニアとして次の仕事に興奮している自分の姿が映っていた。 「私は宇宙に行くんだ!」 理紗がカフェテリアに戻ると、テーブルに2つのマグカップを置いて加奈さんが待っていてくれた。 「座って。コーヒー、ブラックでよかった?」 はいと、言いながら理紗は席に着いた。 「これからの予定を簡単に説明するわね。今は十五時を過ぎた所よ。種子島へのフライトは二十三時間後、明日十四時を予定しています。ロケットの打ち上げは明後日の十六時の予定です。それまでに最低限の訓練を受けてもらう事になるわ」 理紗はコーヒーを飲みながら頷いていた。 「まずは身体測定の後、JEJのシュミレータ訓練に入って貰います。宇宙船の操縦には航空機の操縦の知識や感覚が大事だから・・ あっ、ちなみに明日の種子島へのフライトはあなたに操縦してもらう予定よ」 その加奈の言葉を聞いて、理紗はコーヒーを吹き出しそうになった。
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