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理紗はヘルメットを持って頭から被った。シュミレーターで使ったHMDSに比べてもはるかに軽い。
「声は耳のスピーカから、また貴女の声は中のマイクで拾って外のスピーカで聞けるから」
という和美の声がヘルメット内のスピーカ越しに聞こえる。
「最後に背中に生命維持とMMUが一体になったコントロールボックスを接続するの。これは二十キロくらいあるから、ここでは固定しているあのボックスに背中を合わせて。そうすると自動的に接続するから」
理紗は言われた通り、コントロールボックスに背中から近づいた。
「カチン」という音がしてスーツがボックスに固定される。
そして和美がコントロールボックスを支持フレームから外すと身体の動きが自由になった。
「これで全装備装着完了。普通の宇宙服だったら、重たくて立っていられないわよ。凄いでしょ?」
和美が自負する様に本当に軽量に出来ている。重たいリュックを背負っているくらいの負担しか感じない。
「中の電装品は全て対磁処理をしているから、現在の宇宙でも問題なく動くと思う。設計仕様通りなら・・ね。まあ、ぶっつけ本番だから、性能未達のときは勘弁してね」
理紗は思った。(勘弁って? 宇宙で動かなかったら死んじゃうよ・・まったく・・)
「それじゃ、そのままプールに行くわよ。大丈夫?歩ける?」
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