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理紗がシートをスライドさせていると、長谷部も右席に着いた。
加奈もジャンプシートに腰を降ろす。
シートベルトをしてヘッドセットを付ける。
「それじゃ行こうか・・」と長谷部が声かける。
「はい教官。ビフォー・エンジン・スタート・チェックからお願いします」
「OK」
五分後、理紗の操縦するJEJ-100は滑走路03Lエンドで離陸待機まで進んでいた。
現在も太陽フレアの影響で中距離以上の無線通信使えなかったが、空港内での管制塔との通信は問題無かった。とは言え、本日時点でも民間航空機の飛行は禁止されており、この安曇重工のフライトも政府の特別許可の下で実施していた。
「JAJEJ02。クリアド・フォー・テイクオフ。ウィンド 九五、八ノット」
百里タワーから離陸の許可が出る。
「百里タワーJAJEJ02。クリアド・フォー・テイクオフ」右席の長谷部が復唱する。
理紗はその声を聞き頷いた。
「それでは、離陸します」
理紗がスラストレバーを四分の一程、前に進める。エンジンの鼓動が高まる。これはシュミレーターと全く同じだ。彼女はエンジン計器を一瞥して問題ないことを確認するとスロット横のTOGAボタンを押した。
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