種子島へ そしてリフトオフ

3/15
前へ
/95ページ
次へ
そして、スラストレバーをアイドル位置まで手前に引いて、リバースレバーを持ち上げる。 エンジンの逆噴射が作動した。 ラダーペダルで滑走路の中心を維持し、滑走路の半分を少し過ぎた所で十分に減速ができた。 種子島空港は二千メートルの滑走路を持つが誘導路が設置されていない。 なので、滑走路端で百八十度回頭して、滑走路上をゆっくり戻ることになる。 滑走路の中央まで戻ると、誘導路を九十度左に曲がりエプロンに入った。 そして誘導員の指示に従い機体を停止させ、エンジンをシャットダウンした。 時刻は十六時を回った所だった。 その瞬間、長谷部機長と加奈が拍手をした。 「素晴らしい。まったく指示をせず完璧にフライトをこなしたね。良くやった」 長谷部機長が理紗に握手を求めて来たので彼女はそれに応える。 そしてヘッドセットを外し、シートを後ろにスライドさせた。 シートから立ち上がると、理紗は加奈と一緒にコックピットの外に出た。 タラップが取り付けられ客室のドアが開いた。南国の暖かい空気が機内に流れ込んで来る。 理紗は外に出て大きく伸びをした。 「気持ちいい!」
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

146人が本棚に入れています
本棚に追加