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そして、スラストレバーをアイドル位置まで手前に引いて、リバースレバーを持ち上げる。
エンジンの逆噴射が作動した。
ラダーペダルで滑走路の中心を維持し、滑走路の半分を少し過ぎた所で十分に減速ができた。
種子島空港は二千メートルの滑走路を持つが誘導路が設置されていない。
なので、滑走路端で百八十度回頭して、滑走路上をゆっくり戻ることになる。
滑走路の中央まで戻ると、誘導路を九十度左に曲がりエプロンに入った。
そして誘導員の指示に従い機体を停止させ、エンジンをシャットダウンした。
時刻は十六時を回った所だった。
その瞬間、長谷部機長と加奈が拍手をした。
「素晴らしい。まったく指示をせず完璧にフライトをこなしたね。良くやった」
長谷部機長が理紗に握手を求めて来たので彼女はそれに応える。
そしてヘッドセットを外し、シートを後ろにスライドさせた。
シートから立ち上がると、理紗は加奈と一緒にコックピットの外に出た。
タラップが取り付けられ客室のドアが開いた。南国の暖かい空気が機内に流れ込んで来る。
理紗は外に出て大きく伸びをした。
「気持ちいい!」
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