種子島へ そしてリフトオフ

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「このパソコンで基本的な軌道演算と操縦を行う。またこの箱には慣性航法装置のレーザジャイロ、加速度センサーが搭載されていて、新コウノトリの各機器と接続している。例えばメインエンジンやスラスター、切り離しシステム等だ。このパソコンと制御ボックスは完全な防磁処理をしているから、宇宙空間での動作も問題ない。つまりこれが新コウノトリの制御ユニットと言う事になる」 それ以降、狩野は新コウノトリシステムについて、二時間にも及ぶ講義を行った。理紗はその全てを記憶していった。理紗は理解していた。この一つ一つの知識がミッションを成功させる糧となる事を・・。 二時間の講義が終わり、時計は十九時を廻っていた。 「それじゃ」と言って狩野が立ち上がる。 「十五分休憩する。休憩が終わったら、新コウノトリの輸送モジュール内で操縦訓練を始めよう」 狩野はそう言うと会議室を出ていってしまった 「さあ、お手洗い行こうか?」 加奈がそう言ったので、理紗は「はい」と応え、彼女に続いてトイレに行った。 トイレから戻って、廊下にある自動販売機で缶コーヒーを二人で買った。 会議室に戻り席に着くと、コーヒを開ける。 「ねぇ、疲れた? 大丈夫かな?」 加奈が缶コーヒーを飲みながら理紗に問い掛けて来た。 「大丈夫です。面白い内容ばかりでワクワクします。多分、中身も全部覚えられていると思います」 理紗はコーヒをすすりながらそう答えた。 「凄いわね。私も学校の成績は優秀な方だったけど、貴女には敵わない。本当に驚いた」加奈が大きな目で理紗を見つめていた。 「大した事無いです。楽しいことはすぐに覚えられるのが私の強みですから。だから私を選んだでしょ?」 理紗はニッコリと加奈に微笑んだ。
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