種子島へ そしてリフトオフ

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「高橋君、それじゃシートに腰掛けて。いいかい、左右のパソコンは基本的に同様の機能を持っている。しかし基本は右を操作用に、左をモニター用に使うイメージと思ってくれ」 理紗は頷きながらシートに腰掛けた。 「シートベルトは五点式になっている。ただし、この座席は宇宙服と生命維持装置を着たまま座る仕様になっているから、そのままでは上手くポジション取れない。だから今日の訓練はシートベルトを装着しない」 理紗は二つのパソコンを交互に見た。左のモニターには外部カメラの画像や様々なデータが表示されている。また右のモニターには、新コウノトリの3D画像と、その周りにいくつかの矢印が表示されている。機体のローテション、ピッチ、ヨーをこの矢印で操作する様だ。 その横にスラストと書かれたレバーのグラフィック表示があり、その横にデジタルで〇〇%と表示されている。 「それじゃ、軌道上で太陽光発電衛星にランデブーする所をシュミレーションしてみよう」 狩野は手元のタブレットを操作している。 左のパソコンモニターの画面に宇宙空間が表示され、遠くに太陽光発電衛星が見える。 距離は三十二キロ。相対速度秒速二メートルで、ゆっくり近づいている。 「多分、操作は理解できてると思うけど、まずは自分でランデブーしてみて」 狩野がそう言って制御を理紗に渡してくれた。
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