種子島へ そしてリフトオフ

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理紗はまずスラストの制御の感覚を掴むため三軸の操作を試してみた。 各軸は一回の矢印ボタン操作で秒速一度の加速を行う。 またデジタル値で設定した角度を入力し、自動でのその位置まで回転させることが出来る仕組みだ。 私は直ぐに感覚を理解できた。 (基本は、自動操作で軸を合わせて、細かい調整を手動で行うイメージだ・・) 「三軸の動きは理解できたね。前方へはメインエンジンの加速で、最大〇.五Gまでが可能だ。ただし後方への減速は前側のスラスターで〇.〇一Gしかでない。だから大きな相対速度の修正はメインエンジンで行う必要があるんだ」 理紗はゆっくりと頷いていた。 「それじゃ教官。発電衛星にランデブーしてみます」 うん、と狩野が言うのが聞こえた。 理紗はピッチを二度上げ、ヨーを左方向に四度動かした。 そのままメインエンジンを始動して最大〇.五Gの加速に入る。 彼女は頭の中で簡単に計算していた。 十二秒でエンジンをシャットダウン。相対速度は秒速六二メートルとなっている。 ヨー軸を百八十度回転させ今度は逆方向に〇.五Gでエンジンを十二秒噴射した。 エンジン停止時には、発電衛星から約三百メートル、相対速度秒速二メートルで接近中だった。 ヨー軸を百八十度再び回転させ、前側のスラスターを作動させ相対速度を〇とした。 距離は五十メートルで安定し、発電衛星に完全にランデブーした。
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