最終章 大気圏突入、地球へ

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機首前方に立つ整備員が「了解」の合図を送り、他の整備員が主車輪のタイヤ止めを外す。 前方の整備員が右横に動きながら、「発進よし」の合図をくれた。 真理が加奈の機体を見ると、丁度タイヤ止めを外している所だ。 機体の右に整列した三名の整備士が一斉に敬礼する。 真理は答礼し、右のスロットレバーの前にあるパーキングブレーキをリリースした。 二機のF35BーJはアラートハンガーから出て誘導路を走り〇三Rエンドに来る。 「エンジェルフライト。離陸後、レーザー通信のデータリンクに従ってください。風向き四十二度より七ノットです。〇三Rからの離陸を許可します。ご武運を」 「離陸を許可、ありがとう」左横に加奈の機体も並んだ。 真理は左手のスロットルを前に押し込み、そのままアフターバーナ位置までスライドさせた。物凄い加速で背中がシートに押さえつけられる。 百二十ノットで右手のスティックを引いた。そのままピッチ四十五度で上昇する。 HMDSに指示されるデータリンクの青いシンボルを追いかけた。 水平飛行に移った時は、房総半島沖、五万フィート、マッハ〇.九五だった。 「エンジェルリーダ、横田CCPだ」 「はい、レーザ通信、リンクとも良好です」 真理が応えた。 「今回のスクランブルは領空侵犯への対処では無い。大気圏外の軌道から降りてくるホープ2の通信サポートと羽田へのエスコートが任務だ。今からデータリンクで必要な情報を送る。HMDSにて事前に確認して欲しい」 真理はびっくりした。ホープ2? 通信サポート? エスコート? どれもまったく想像していなかった任務だった。
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