最終章 大気圏突入、地球へ

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軌道上ホープ2 大気圏に向けた減速が終了すると、理紗はホープ2のヨーを百八十度回転させ、ピッチを四十度に上げた。 逆噴射から回れ右をして上を向いた格好だ。 これが大気圏突入の姿勢となる。 地球は暗くて地形は分からないが、今は東ヨーロッパの上空だった。ヨーロッパの街並みの光が所々見える。 そのままロシアの領空に入り、一旦、北極海の上空に出る。 減速から約三十分で、高度百二十キロに達し、シベリア上空で大気圏突入が始まった。 羽田までまだ約四千キロ離れている 加速度はマイナス三G、窓の外が真っ赤になっている。 理紗はピッチ四十度を守る様にサイドステックでの細かい姿勢修正を行っていた。 方位も慣性航法装置のコースを見ながら修正を加える。 高度八十キロでは更に空力加熱が進み外表面の温度は千三百度に達した。 最大加熱ポイントだ。 高度四十キロでマッハ十五まで減速が進んでいる。シベリアを抜けて日本海に出た。姿勢変更がスラスターから動翼に変更されていく。 七分で日本海、日本列島を超えて千葉県勝浦市沖の十キロの太平洋上空に達した。 高度は二十五キロ、速度マッハ十。 ここから最終の減速旋回に入る。 まずは、左に七十度ロールをして三百六十度旋回、そして右に七十度ロールをして二百十五度の旋回。 高度は二十キロ、約六万フィート、速度マッハ一.五まで減速出来た。 これで羽田の滑走路三四Rに正対した筈だ。 まだ、この位置では羽田との通信可能範囲の外だった。 また、日本列島上空には雲が横たわり、残念ながら陸地は視認できなかった。 「あとは滑空するしかないから、運を天に任せて・・」 理紗はそう言いながら、羽田に向けた最終滑空に入った。
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