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茨城でのトレーニング
安曇重工のヘリコプターは都心を後にして北東に進んでいく。目前に茨城空港が見えて来た。
この空港は、西側に旅客ターミナルが整備されており、東側に航空自衛隊の百里基地がある。
この百里基地の南側に、安曇航空機の茨城事業所が置かれている。
ここは現在、国産の旅客機JEJの開発・生産が行われており、安曇重工と安曇航空機の航空宇宙事業の拠点となっている。
ヘリコプターは、その安曇航空機の事業所前の、”AZUMI”と書かれたライムグリーンのJEJ-100の機体の横に着陸した。
直ぐに女性が走って来て、ヘリのドアを開けてくれる。
「高橋さん。私は原口加奈。加奈と呼んでね。安曇重工の技術部長です。宜しく」
彼女は右手を差し出した。理紗はシートベルトを外すと彼女の右手を握りしめた。
「初めまして加奈さん。私も理紗と呼んでください。お若いのに部長なんてすごいですね・・」
理紗はそう言いながらヘリから降りた。
「それじゃ原口君、あとは宜しく」
後ろから大林の声が聞こえる。
「はい本部長。承知致しました。それじゃ理紗さん、こちらに」
加奈はそう言うと踵を返して建物の方に歩き出す。
理紗はヘリに残った大林に軽く会釈すると、加奈の後ろに続いた。
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