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軌道へ、トラブル発生
理紗を乗せたH3ー24Lが発射台を離れる。
物凄い重力加速度だ。メータを見ると三.二G。
「結構、キツイな」
振動も凄い。壊れそうな大きな揺れだ。
残念ながら、この新コウノトリの中からでは外は見えない。
種子島のコントロールルームでは、長谷川首相以下、多くのメンバーが打ち上げを見守っていた。
「ロケット発射台を通過、十、十一、十二・・」
雲を突き抜け、真っ青な空に向かってH3ー24Lが登っていく。
涙を流しているものもいる。
ドン、ドンという音がする。H3ー24Lが音速を超えた証だ。
「百十、百十二、百十四、百十六、SRB燃焼終了」
「高度七十キロ、速度秒速二.三キロ。SRB第一ペア分離、第二ペア分離」
上空で、燃焼が終了した固体燃料ブースターが切り離される。
四つのブースタが二つずつ二回に渡って切り離された。
SRBが外れ、濃い大気層を抜けたH3ー24Lはメインエンジンで更に加速していく。
重力加速度は最大の四.八Gに達した。
理紗は、さすがに身体が動かせなかった。その間も、加速は続いている。
「レーザ通信限界まであと百二十秒。百九十、百九十五、新コウノトリ フェアリング分離」
全てのパラメータはグリーンで順調だった。あと二分でMECO(主エンジン停止)だ。
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