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序章 モテナイ君の野望
ある地方都市(神奈川県藤沢市)にある、中流大学。
常磐南体育大学。
其処に通う、保鉄名市蔵【もてないちぞう】は、女の子と付き合った事がない。
中学高校と共学で、女の子と付き合おうと思えば、チャンスが無いことはなかった。
しかし、ちょっと気が引けて、ついつい硬派を気取ってしまう。
保鉄名は、中学高校と柔道部に在籍しており、地元ではちょっと知られた存在だった。
高三の最後の大会では、あとちょっとで、優勝って処までいったのだ。
そして柔道の特待生で、この大学に推薦で入った。
せっかく柔道の推薦で、入学したが、市蔵にはちょっした野望があった。
せっかく大学生に成ったのだから、彼女の一人くらい、いや、絶対につくる!
そう、静かに野望を燃やしていた。
その大学には、ちょっと変わった学部があった。
人間の感覚が、人間の行動に、どう影響するのか。特に、臭いに対して、どう対応して、どう行動するか?それを研究する。
その学部の名前を、人間行動学既知感覚研究学部。
その学部の若き教授、下野毛章子42歳。
その美貌、とてもアラフォーには見えない、その大学に通う女子大生と比べても、何ら遜色するところが無い。
その下野毛教授が、気晴らしに大学構内を散策していた時、面白い人材を発見した。
今期の新入生だろう。
偉く体格がいい、たぶんスポーツ選手。格闘技系、となれば、柔道部だ。
下野毛教授が興味を持ったのは、微かに香ってくる、彼の体臭であった。
「ちょっと、其処の君。」
下野毛教授は、その体格の良い学生に声を掛けた。
その学生は、ポカンとした顔をして、教授の方を見た。自分を指差して、自分の事か?と、聞いている。
「君は新入生かな?名前は?」
「自分は、保鉄名市蔵。一応、教育学部一年です。」
保鉄名市蔵は、胸を張って答えた。
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