序章 モテナイ君の野望

1/1

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

序章 モテナイ君の野望

 ある地方都市(神奈川県藤沢市)にある、中流大学。  常磐南体育大学。  其処に通う、保鉄名市蔵【もてないちぞう】は、女の子と付き合った事がない。  中学高校と共学で、女の子と付き合おうと思えば、チャンスが無いことはなかった。  しかし、ちょっと気が引けて、ついつい硬派を気取ってしまう。  保鉄名は、中学高校と柔道部に在籍しており、地元ではちょっと知られた存在だった。  高三の最後の大会では、あとちょっとで、優勝って処までいったのだ。  そして柔道の特待生で、この大学に推薦で入った。  せっかく柔道の推薦で、入学したが、市蔵にはちょっした野望があった。  せっかく大学生に成ったのだから、彼女の一人くらい、いや、絶対につくる!  そう、静かに野望を燃やしていた。  その大学には、ちょっと変わった学部があった。  人間の感覚が、人間の行動に、どう影響するのか。特に、臭いに対して、どう対応して、どう行動するか?それを研究する。  その学部の名前を、人間行動学既知感覚研究学部。  その学部の若き教授、下野毛章子42歳。  その美貌、とてもアラフォーには見えない、その大学に通う女子大生と比べても、何ら遜色するところが無い。  その下野毛教授が、気晴らしに大学構内を散策していた時、面白い人材を発見した。  今期の新入生だろう。  偉く体格がいい、たぶんスポーツ選手。格闘技系、となれば、柔道部だ。 下野毛教授が興味を持ったのは、微かに香ってくる、彼の体臭であった。 「ちょっと、其処の君。」 下野毛教授は、その体格の良い学生に声を掛けた。 その学生は、ポカンとした顔をして、教授の方を見た。自分を指差して、自分の事か?と、聞いている。 「君は新入生かな?名前は?」 「自分は、保鉄名市蔵。一応、教育学部一年です。」 保鉄名市蔵は、胸を張って答えた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加