0人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
第1章 運命の出逢い?
常磐南体育大学。
通称、常南体大。
さらに約して、ナンタイと呼ばれていた。
ナンタイは、正門を入ると大きく広場を取っていて、その奥に本校舎がある。
本校舎を中心に、右側が研究棟。左側が運動部室。その奥に室内競技の総合体育館がある。
保鉄名市蔵(モテナイチゾウ)が、下野毛章子の案内で、研究棟に入っていく。
其処は自分とは、永遠に関係のない処だなって、その時思った。
整然と並ぶ、○○研究室と札が張られたドア。廊下には、無駄な物は何一つ置かれてはいない。
下野毛章子はその廊下の、一番奥のドアを開いて、市蔵を招き入れた。
その部屋には、数脚の机と椅子、色々な実験機具。何か使用目的がわからない電子機器。
後、目を引いたのが、ショーケースに入った木とか草を干した物、得たいの知れない動物の木乃伊。
「あ、それ?気味が悪いでしょ?」
下野毛章子が、マジマジとショーケースを見ている市蔵に、声をかけた。
「あ、いえ。」
「さ、そこに座って。」
下野毛章子は、部屋の奥の椅子を勧めた。
その椅子に座って、市蔵は気が楽になっているのに気がついた。
さっきまで、緊張を通り越して、ボウっとしていたのに、今はアチコチ見渡せる、余裕も出てる。
「ちょっと、質問に答えてもらっても、良いかしら?」
下野毛章子は、バインダーに挟んだ冊子を取り出して、市蔵の目の前に座った。相変わらず、意味ありげな笑みを口元に浮かべていた。
「先ずは、名前と学部、あ、此はさっき聞いたわね?もてなって、漢字でどう書くの?」
下野毛章子の質問に、
「え~とですね‥‥‥。」
市蔵は、差し出された紙に、名前を書き入れた。
「クックッ、ククク、‥‥‥。」
下野毛章子は、噛み殺し切れなかった、笑いを漏らした。
「あ、ゴメンなさい。」
「いえ、慣れてますから。」
「さっきも感じたけど、すごい名前ね。」
下野毛章子は、一頻り笑って気がすんだのか、少し真面目ぶって、色々と質問をしてきた。
特に、食生活に着いての質問が多かった。
最初のコメントを投稿しよう!