噂の美人教授3

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噂の美人教授3

 「ほんとか?」 月山の顔が、パッと明るくなった。 「本当ですよ、ちょっと研究を手伝って欲しいと、言われたんですよ。」 そう言う保鉄名に、月山は、 「そうか、ではキチンと、手伝って来い。」 そう言って、保鉄名の背中を叩いて、送り出した。  柔道着のまま、保鉄名が研究棟に入っていく。その後ろ姿を、遠巻きにして、柔道部員達が見守っていた。 全員、嫉妬混じりの変な顔である。  そうだろう。  ナンタイの柔道部には、女子部員は居ない。女子マネージャーも居ない。  全く女っ気が無い。  ムサ苦しさ、この上ない。  其処に、大学きっての美女降臨である。全員の股間が熱くなる。  其れなのに、呼ばれて行ったのは、モテナイ君なのだ。 「何で?」 全員がそう、叫び出さんばかりだ。  保鉄名市蔵は、刺さらんばかりの視線を浴びて、ちょっと優越感を感じていた。  下野毛教授の研究室に入ると、この前とは又違った雰囲気になっていた。  研究室の中は、丸で花が咲いたように、明るかった。  この前は、下野毛教授しか居なかったが、今日は白衣を着た、年頃の女性が沢山いた。 「あのう、保鉄名ですが‥‥‥。」 そう言ったら、部屋にいた全員が保鉄名を見た。  何か、視線が熱い。  全員に、マジマジと見られて、居たたまれない。と其処へ下野毛教授が、顔を出した。 「丁度良かったわ、さっ、こっち来て。」 下野毛教授は保鉄名を、研究室に招き入れた。 「みんな、注目!」 下野毛章子が、部屋にいた全員に、保鉄名市蔵を紹介した。 「モテナイ君、皆を紹介するわ。」 下野毛章子が、全員に合図する。部屋にいた全員が立ち上がって、保鉄名の前に並んだ。 「左から、久野梓、一坂菫、二階堂明日香、二階堂響子、冴島薫子。」 下野毛章子は保鉄名に、そう紹介した。 「皆、此の下野毛研究室の、研究員よ。」 研究室は女ばかりで、しかも全員美人揃い。 「今私たちは、香料の研究をしているの。」 そう言ってきたのは、一番左にいた、久野梓であった。  艶やかな長い黒髪が、印象的な和風美人と言った印象を受けた。  保鉄名の、体が大きいせいもあるが、ちょっと小柄で華奢な感じが、男の庇護欲を掻き立てる、そんな感じを受ける。
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