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他にいる前住民だったモノについては契約に含まれていない。
夏魎が居なくなったことで、成仏するモノもいれば、そのまま住人に戻るモノもいる。彼らに対して、切々と悟りを説く等、めんどくさいし柄ではない。
それに、まだここは一件目。日暮れまでには帰りたい。
恨めしそうな男の視線を背後に感じながら、次の現場へ向かった。
大きなトラブルも無く、確認されている夏魎は全て回収した。
早く帰って生ビールでも飲みたい気分なので、自治会長の爺さん元へ向かう。
これが最期の報告になるだろう。
部屋に辿り着くまでに、何人かの住人とすれ違ったが、皆、今にも生気が抜け切ろうとしている老人だった。
目を見開いて、マジマジとこちらを見たかと思うと、念仏を唱えて逃げたババアもいた。この暑さに黒スーツに黒シャツ黒ネクタイのサングラス男を見れば、死神か何かと勘違いしても仕方がない。
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