夏魎の巣穴(カリョノスアナ)

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「あんたが、うちの家族にした事、覚えてる?」 「ししし、しらん、わしは自治会長として……」 「難癖付けて、毎日文句言いに来てただろうが、時間構わずドア蹴り飛ばすは、壁ドンしやがるは、ある事無いこと住民に触れ回るは、郵便物盗むは、やりたい放題やってくれましたよね」 「あ、あれは、その、お前の親父が生意気だから」 「言い訳になってませんね。自治会長の選挙に出ようとしただけですよ、父は。この腐れ団地の為を思ってね」  冷静だった。老人が、どうしようも無い人間だという事は知っていたから。  数年かけてジックリとジワジワと追い詰めた。  その為に人工的に作ったのが夏魎。  もっとも、今では予想外のモノに成長してしまったが。 「あの嫌味たらたらなババア、自殺じゃ無いんだぜ」 「な、なにぃっ」
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