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「……先輩」
「……なに?」
「人は夏がくると、なぜスイカを割りたくなるんでしょうね」
「夏の暑さで脳の中枢神経系が刺激されてしまい、本能的に割りたくなるからよ」
「デタラメですよね?」
「あたりまえじゃない。本気だと思った?」
「ぜんぜん。むしろこの暑さで頭がおかしくなったのかな、と」
「もー、失礼ね」
「だいたい、先輩の日ごろの行いを見ていたら、まず本気にしないです」
「まるで私がアホみたいな言い分ね。あと、これは余談だけど、外国にスイカ割りの遊びはないらしいの。だから質問自体が間違っているわけ。すなわち愚問ね。後輩くんの質問は、日本限定で通じるものよ」
「さいですか。あ、先輩、右に少しズレてますよ」
「こうね。だいたい、さっきの質問、扇風機に向かってあーって声をだす理由を問うのと同じ。無意味よ」
「先輩、そんな子供じみたことしてるんですか?」
「いいじゃない。夏の風物詩みたいなものよ」
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