7日間

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1日目。 ずっと暗い中にいたぼくは、 初めて見た太陽がまぶしくて、 叫ぶのも忘れてただただ歩き続けた。 2日目。 明るさになれて来たぼくは、 今日も朝から元気な声を出した。 3日目。 明るい世界に出て、 ようやく自由になった。 好きな時に好きな所へ行くのは楽しいね。 4日目。 今日も元気に、声を出す。 おや?向こうから誰か来た。 「こんにちは」勇気をだしてあいさつをする。 「こんにちは」元気な声が返って来た。 5日目。 今日は何だか、元気が無い。 声の調子も悪いし。 まぁ、そんな日もたまにはあるか。 6日目。 あれ、今日も調子が悪い。 日に日に弱くなるのが自分でもわかる。 そうか、もうまもなくおわりが近づくのか。 7日目。 さよならなんていわないよ。 おわりはまたいつかのはじまりにつながるのだから。 また、会おうね。 「こんにちは」元気な声がする。 ごめんね。僕はもう答えられないや。 「おかあさん、このセミさんもうあいさつしないよ」 「このセミさんは、天国にいったのよ。一緒に土にうめてあげようね」 そして時が流れ、また何回目かの夏が来た時ふと思い出す。 セミの声は五月蝿いけれど、やっぱり夏が来たって思う瞬間なんだよね。 今日も暑くて大変な一日だけど、セミの声に励まされながらがんばろうと思う。 7日間、人にとってはほんの短い時間だけれど、 時間の概念のない生物にとってはどんな時間の長さだろう。 短いのか長いのか、たぶんそんなの関係のないところで、 楽しく、逞しく生きているのかな。 最後にポトリと落ちる瞬間、 君は何を思うだろうか。
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