4人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
掃いても掃いても降ってくる落ち葉のように、寂しさが積もっていく。
私は次の日が仕事だろうが一時間でも会えるなら何処へだって飛んでいくよ?
でも彼は『無理させたくないから』と困ったように笑むばかり。
その顔はずるい。
最後の一押しを封じられた私は諦めるしか選択肢を持ち得なかった。
しかし、誤解があってはならない。
決して関係が冷めている訳ではないのだ。
会話が途切れることは滅多にないし、テレビを見ていれば笑うタイミングは同じだし、目玉焼きを食べる時には揃ってお塩を掛けるし。
本当に仕事が立て込んでいるのと、ブレーキを掛けないとあらぬ方向へ突っ走ってしまう私を理解している彼のやさしさ故の。
愛を育てる時間なのだ。
心配することなんて何もない。
大丈夫。
だいじょうぶ。
自己暗示にも似たそれはしかし、リアルタイムで瞳に映る光景に脆くも叩き潰されそうになる。
「…なんで?」
最初のコメントを投稿しよう!