2.立てば芍薬、座れば牡丹...

7/7
前へ
/154ページ
次へ
両手で頬を包み込むと、そっと顔を上げ、目線を合わせる。すると真奈は真っ赤になってしまった。 泣きそうに目が潤んでいる。 「どうしたの?」 「どうしていいのか、分からないんです。」 「大丈夫。真奈は僕の顔、好きなの?」 目線を合わせようと一生懸命なのが、可愛い。 そして、その問いにもこくんと頷いた。 「可愛い、真奈。僕も真奈の顔可愛くて好き。今日話してみて、話しているとこも食事してるとこも、仕種も、全部可愛いって思った。」 「でも、私人見知りですし、今日も上手く話せなくて…っ」 「そんなの、全然平気。」 むしろ、これで人慣れていたら、モテすぎて仕方なくなる。 この人見知りだから今まで誰にも手をつけられなかったんだろう。 今の職場だって表立ってアプローチして来ないだけで、絶対狙っている奴はいるはずだ。 絶対に誰にも渡さない。 真奈の好みの顔が自分で良かったとすら思う。 「真奈。」 小さい頭をきゅっと胸に抱き寄せる。 真奈の手が遠慮がちに胸の辺りを掴んでいた。 「正式にお願いする。結婚を前提に、僕と付き合って下さい。」 「はい。」 可愛い…。 貴志はつっと真奈の頬に手を寄せ、顔を持ち上げると軽く口づけた。 柔らかくて、気持ちの良い唇だった。 真奈は茫然としている。 「ん?」 「いえ、あの…初めてだったので…。」 ん? それって…。
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7484人が本棚に入れています
本棚に追加