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両手で頬を包み込むと、そっと顔を上げ、目線を合わせる。すると真奈は真っ赤になってしまった。
泣きそうに目が潤んでいる。
「どうしたの?」
「どうしていいのか、分からないんです。」
「大丈夫。真奈は僕の顔、好きなの?」
目線を合わせようと一生懸命なのが、可愛い。
そして、その問いにもこくんと頷いた。
「可愛い、真奈。僕も真奈の顔可愛くて好き。今日話してみて、話しているとこも食事してるとこも、仕種も、全部可愛いって思った。」
「でも、私人見知りですし、今日も上手く話せなくて…っ」
「そんなの、全然平気。」
むしろ、これで人慣れていたら、モテすぎて仕方なくなる。
この人見知りだから今まで誰にも手をつけられなかったんだろう。
今の職場だって表立ってアプローチして来ないだけで、絶対狙っている奴はいるはずだ。
絶対に誰にも渡さない。
真奈の好みの顔が自分で良かったとすら思う。
「真奈。」
小さい頭をきゅっと胸に抱き寄せる。
真奈の手が遠慮がちに胸の辺りを掴んでいた。
「正式にお願いする。結婚を前提に、僕と付き合って下さい。」
「はい。」
可愛い…。
貴志はつっと真奈の頬に手を寄せ、顔を持ち上げると軽く口づけた。
柔らかくて、気持ちの良い唇だった。
真奈は茫然としている。
「ん?」
「いえ、あの…初めてだったので…。」
ん?
それって…。
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