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張り切って電話に向かう部下を見て、もう少し接点を持つべきかもしれない、と榊原は少し反省した。
セミナー担当となっている部下の柳田と、榊原は信託の支店に向かった。
信託は打ち合わせのために応接を用意しているという。
先方の担当者とも名刺交換し、スーツ姿の団体はロビーでかなりの注目を集めながら、応接に向かった。
その、途中で真奈の姿を見つける。
制服姿だが、逆にスタイルのよさが際立っていた。先日は見られなかったものだ。
電話対応しているようで、俯いて、メモを取っている様子が見えた。
メモを手に取り、担当の営業課員のところへ行く途中で、目が合う。きょとん、として驚いた表情になる。
榊原は目を細めて、軽く手を上げると、真っ赤になった真奈が軽く頭を下げた。
「あれ?次長、ご存知なんですか?」
「まあ。」
「なかなか、声掛けられないんですけど、可愛いですよねぇ。お嬢様って感じで。」
「ああ。」
やはり、高嶺の花、の方か。
真奈はどうしたら良いのか分からない様子で、自分の席に戻ろうとしている。
「少し、待っていて下さい。」
そう言って、榊原は真奈の方に向かった。
「やあ。」
「貴志、さん。」
「今日は打ち合わせで。でも、もしかして真奈の顔が見れるかも、と少し思っていたけど。良かった会えて。金曜日はご飯でもどうかな?仕事終わった後に。」
「はい…。大丈夫です。」
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