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「何が食べたいか、考えといてね。じゃあ、また、連絡するから。」
女性からも、男性からも視線を感じる、が、榊原はこんなことで動じるような神経の持ち主ではない。
まあ、取り敢えず、牽制にはなったかも、と思う。
「すみません、お待たせしまして。」
あっけに取られているメンバーに、榊原は笑顔を返したのだった。
応接で簡単な打ち合わせをしていると、ノックの音がする。
「どうも。成嶋です。」
聞き覚えのある声だ。
「あ、部長、よろしくお願いします!」
「今回の講師のリサーチ&コンサルティングの、成嶋部長です。」
「てか、榊原んとこの店だったのかぁ。」
「成嶋さん…。」
遅れて来たのは、榊原も面識のある成嶋炯だった。相変わらずの抜群のスタイルの良さと、キリッとした中に甘さのある顔立ち。
もともと、同じ支店で1課長、2課長をしていた仲である。当時はライバル、とも目されていたが、ライバルでもありながら、戦友のようなものだとも思う。
「講師って、成嶋さんだったんですか…」
「うん。コンサルティングの方に部長扱いで、出向してて。講師は2回目かな。でも、前回もお陰様で結構好評でね。」
「は…。向いてますよね。よくぞ、そこにと思います。」
支店にいた時から総合提案に、定評のあった成嶋だ。
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