3.成嶋部長、登場!

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「いひゃい、いひゃいいれす!榊原次長ー。」 無表情で、ほっぺたを引っ張ってやった。 「へーえ、小笠原さん?」 人事と噂話が好物なのは、銀行員にそれしか楽しみがないからだろうか。 変に噂になるのは好ましくないし、本意ではない。 ここだけの話みんな知ってる、ではシャレにならない。 「言わねーよ?」 「知ってます。」 ジロリと柳田を見遣る。 成嶋はにっと口元に笑みを浮かべた。 「柳田くーん、今この場でお話ししてることは、この場限りだよ。洩れたら、分かってるよね?」 柳田は笑顔の成嶋に震え上がっていた。 「い、言いません!洩らしません!」 「大した話じゃないです。結婚前提でお付き合いしてるんですよ。」 「へえ?」 成嶋の目が三日月のようになっていて、絶妙にイラッとするのはなぜだろうか。 「ひえぇ、そうだったんですかぁ。支店の女子がガッカリするなー。」 「柳田くーん?お口は閉じてろよ?洩れたら、成嶋先輩が体育館裏に呼び出すぞー。」 「は、はいぃ。」 まあ、成嶋がこれだけ脅しをかけたら、洩れることはないだろう。 「ホントにご馳走になってしまって、いいんですか?」 店の外に出たら、柳田がもじもじしている。 そう思うのも、無理はない店構えではあったが。 あははっと成嶋は笑い飛ばした。     
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