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支社長も取引先、と言っていたし、真奈も、父がごり押しして、というようなことを言っていた。
支社が取引先なのだから、経営者のお嬢さんなのは最初から分かっている。
「本気なら止めないけど。結構な箱入りのはずだぞ。」
「ええ。」
「なるほど、な。」
本当にこの人の察しのよさは腹が立つ以外の何ものでもないな。
「まあ、そんな顔すんなよ。オレ、個人的にはお前のこと、本気ですげえやつって思ってるから。そうだな…、今度、彼女とうち来いよ。葵にも言っとくから。他言無用で。」
「家って…」
成嶋のマンションは知っている。
あのマンションに、4人を招くスペースがあるとも思えない。
「お前、来たことないか。そうだよな。同僚はあまり呼ばないからな。車で1時間くらいのとこに家あんだよ。野村先生とか、早瀬先生も来るし、他も助けてくれてるオレの仲間も。賑やかな時もあるけどな。でも、面白いぜ。えっと、来週あたりバーベキューする予定だから、メールする。」
野村先生はもともと顧客の顧問税理士だったそうだが、今やお互いの仕事をサポートする間柄とは噂で聞いている。早瀬先生は弁護士のはずだ。
なるほど。人脈をフル活用するとはこういうことか、と榊原も感心する。
あと、お前とは割り勘。5千円ちょうだい。と成嶋に言われた。榊原は黙って5千円差し出したが、あの店が一人3千円?そんなことはないと思うのだが。
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