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「でも、姿が見えたので、待たせてしまったら、申し訳ないと…。」
それでも、女性とは悠々来るものかと思っていた。
申し訳ないと言われて、こんなに一生懸命になってくれた女性はいない。
貴志は、真奈にふっと微笑みかけた。
「僕は真奈がケガしたりしたら、困る。遅れてもいいんだよ。連絡さえくれたら。」
「そう…なんですね。」
真奈は首を傾げている。
うーん。本当に箱入りらしい。
「ワンピース、可愛いね。」
「お食事、とおっしゃってたので。」
やはり、顔を赤くして俯いてしまう。
「真奈。」
「はい…」
真奈がちらりと貴志の顔を見た。
分かってはいるんだな、と思う。
「慣れてね?」
「は…い。」
しかし、その上目遣いは逆効果かも。
自分が飛び抜けて可愛らしい容姿だと分かっているんだろうか。
自覚がないとしたら、怖すぎる。
でも、自覚はない気がする。
「グランドホテル、知ってるかな?そこのダイニングを予約してるから。」
そう言うと真奈はホッとした、様子になった。
「分かります。」
2人でホテルに向かって歩き出す。
真奈は何か言いたげだ。
「どうかしたの?」
「あ、いえ。この前お店に来られてたので、びっくりしてしまって。」
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