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父がごり押しした結果ならば、どれだけ素敵でも、綺麗でも、好みでも断らなくてはいけない。
真奈は少し、悲しい気持ちになって、俯いてしまった。
初恋が、失恋決定だったから。
こちらの榊原は将来有望で…などと、支社長が適当な紹介をしている。
「じゃ、ここで私達は失礼しますので、あとはどうぞお二人で。」
「では、榊原さん、失礼いたしますわね。お料理はお願いしてありますので、どうぞ楽しんでいって下さいね。」
えっ?!か、帰ってしまうんですか?
榊原から見えない位置で、母が小さく頑張りなさい、と言う。
うぅ…もう…。
「申し訳、ありません。」
「はい?」
返事をしながら、榊原が柔らかく、のぞき込んでくる。
「多分、父がすごく強引にお願いしたと思うんです。」
そう正直に言うと、榊原はふわっと微笑んだ。
「大丈夫ですよ。カジュアルにと聞いていましたから、少し驚きましたけど。真奈さんはこういったお食事は、何度かされているんですか?」
「いえ…。初めてです。本当に今回、いいお相手なので、とすごく強引にされてしまって。ごめんなさい…」
「謝らないで下さい。こちらでお食事された事はありますか?」
「はい。何度か…。母と。」
「じゃ、すごく美味しいのはご存知ですね。お酒は飲みますか?」
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