番外1:真奈ちゃんの初恋

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食事を終えて、席を立つころになったら、榊原は真奈の椅子を引きにきてくれた。 気遣いが嬉しい。 「ありがとうございます。」 本当に仕草のひとつひとつにまで、どきどきしてしまう。 「真奈さん、もし差し支えなければ腕をどうぞ。足元が歩きにくいでしょうから、よろしければ。」 でも、きっと義理で来ているだけなのだから、お断りしなくては。 腕を差し出されても! でも、先程から、榊原はずっと優しくて、包み込むように真奈を見てくれて、真奈は断らなくてはいけない、と分かってはいるものの、辛くて仕方がなかった。 榊原のエスコートで庭に向かった。 春先の庭は思う様に花が咲き乱れるという感じで、なおかつ手入れも行き届いており、とても綺麗だ。 「本当。お庭もすごく素敵なんですね。」 「真奈さん。」 「はい。」 「僕は今回このお話、進めたいと思っています。あなたはいかがですか?」 え!?義理じゃないんでしょうか…。 断ろうと思っていた気持ちは確かに、その瞬間大きく揺らいだ。 そして、 「榊原さんさえ、よろしければ。」 気付いたら、真奈はそう返事していた。 「貴志、です。僕の名前。」 名前…。名前で呼んでいい、と言うことだろうか。 断らなくていい? そう、先程、榊原さんさえ良ければ、と言った。 その回答がこれなの? 「貴志さん…。」     
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