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もともと、銀行員で裏を取られるようなことをしていなかったのは、幸いだ。
恐らくは、ありとあらゆる調査をしている、と考えている。
仕方ない、よな。
とは言え、貴志自身も自分の出来る範囲内での確認はさせてもらった。
いざ、となってポシャるようなことは避けたいからな。
お互い、最初に本心など見せないことは分かりきっている。
それでも、きちんとしておきたかった。真奈のために。
土曜日、天気は快晴だった。
天気予報も週末は晴れだ。
バーベキューも楽しく過ごせるだろう。
さて、となる。スーツを着て、挨拶にいき、軽く食事。そのまま諸々の買い物をする。
成嶋の家に行き、ラフに過ごす。
終わったら別の場所で静かに過ごす。
それについても既に手配済だ。
着替えの準備や諸々の手配を済ませ、貴志は家を出た。
あらかじめ、調べておいた真奈の家にはスムーズに到着した。
まあ、こういう事だよな。
到着した真奈の実家は、『小笠原』と立派な表札の日本家屋。
車のまま中庭まで、入り、玄関の呼び鈴を押す。
いらっしゃいませ、お待ちしておりました、とにこやかに出迎えてくれたのは、お手伝いさんらしき女性だ。
「お噂はかねがね…」
「悪い噂でないといいんですけど。」
そう言って貴志は微笑む。
いえいえ、もう、お噂通りです!と言われてしまった。
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