5.お噂はかねがね

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もともと、銀行員で裏を取られるようなことをしていなかったのは、幸いだ。 恐らくは、ありとあらゆる調査をしている、と考えている。 仕方ない、よな。 とは言え、貴志自身も自分の出来る範囲内での確認はさせてもらった。 いざ、となってポシャるようなことは避けたいからな。 お互い、最初に本心など見せないことは分かりきっている。 それでも、きちんとしておきたかった。真奈のために。 土曜日、天気は快晴だった。 天気予報も週末は晴れだ。 バーベキューも楽しく過ごせるだろう。 さて、となる。スーツを着て、挨拶にいき、軽く食事。そのまま諸々の買い物をする。 成嶋の家に行き、ラフに過ごす。 終わったら別の場所で静かに過ごす。 それについても既に手配済だ。 着替えの準備や諸々の手配を済ませ、貴志は家を出た。 あらかじめ、調べておいた真奈の家にはスムーズに到着した。 まあ、こういう事だよな。 到着した真奈の実家は、『小笠原』と立派な表札の日本家屋。 車のまま中庭まで、入り、玄関の呼び鈴を押す。 いらっしゃいませ、お待ちしておりました、とにこやかに出迎えてくれたのは、お手伝いさんらしき女性だ。 「お噂はかねがね…」 「悪い噂でないといいんですけど。」 そう言って貴志は微笑む。 いえいえ、もう、お噂通りです!と言われてしまった。     
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