2.立てば芍薬、座れば牡丹...

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振り返った彼女は、大きくてぱっちりとした、黒目がちな瞳。 黒くて真っ直ぐなつるっとした髪が肩に流れている。 色白で、ふわっとした頬のライン。 まさにさくらんぼのような唇。 童顔で、年より若く見える。 ハッキリ言って好みのどストライクだ。 「小笠原様!お忙しいところ、恐れ入ります。こちらが榊原です。」 「榊原貴志です。」 なるべく柔らかく見えるように榊原は微笑む。 「小笠原真奈(おがさわらまな)です。」 人見知りするのか、一瞬、榊原と目を合わせたあと、真奈は目を伏せてしまった。 どうやら、浮いた話がない、は本当のようだ。 こちらの榊原は将来有望で…などと、支社長が適当な紹介をしている。それを聞くともなしに聞きながら、榊原は真奈を観察していた。 着物なので、体型は全く分からないが、少なくとも顔立ちは好みだ。 化粧は薄いが、それを凌駕するほどの綺麗な肌質と、顔立ち。 伏し目がちにすると、長い睫毛が影を作っていた。 少し引き結ばれている口元は緊張からか、それとも、望まない見合いだったのかもしれない。 そんな表情すら綺麗に見せてしまうのは、顔立ちのせいだろうか。 「じゃ、ここで私達は失礼しますので、あとはどうぞお二人で。」     
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