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そのブランドのラウンドサイドペアシェイプ、と呼ばれるデザインを注文してあった。
真ん中に大きめの石をあしらい、サイドに小さい石が飾られているもので、貴志が一目見て気に入ったので。
すぐ買えるか、確認したところ、受注生産です、と言われてしまったので、即日オーダーしたのだ。
ちなみに金額的には、ちょっとした国産車が新車で買える程だが、貴志の収入には見合っていると考えている。
真奈に対しても惜しいとは思わない。
店を訪ねると、いらっしゃいませ、榊原様、お待ちしておりました、と担当者が出迎える。
「この度はおめでとうございます。」
「ありがとう。申し訳ないけど、急いでいるので見せてもらえますか?」
もちろんでございます、と担当者が持ってきたその指輪を、貴志は気に入った。
「真奈、付けてみて?」
「はい…」
もともと、指が細いので1カラットでも、綺麗に映える。
「サイズはどうかな?」
「ぴったりです。」
「うん。デザインも可愛いな。」
驚いてはいても、たじろがないところはさすがだと思う。
真奈の、こんなところに惚れ直している、とは思わないだろう。
「僕は気に入ったな。真奈は?」
「あ、素敵です、あの…」
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