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「せっかくだから、付けて帰れば。しばらくは付けていてもらうことになるしね。」
ケースをお持ちしますね、と言う担当者に、精算も頼む。
左手薬指に指輪を付けている真奈が手を広げて、しげしげと指輪を眺めていた。
「似合うよ?」
「会社にしても、大丈夫でしょうか…」
いや、むしろして行ってほしいくらいだ。
「婚約指輪だよ?何か言われたら言っておいで?」
黙らせるしな。
「あ、りがとうございます。」
その後、デパートで成嶋家へのお土産を購入し、車で成嶋の家を目指す。
車で1時間半はちょっとした、ドライブだ。
「知り合いって、同僚の方ですか?」
「元、ね。前の支店の同僚だけど、今はコンサルしてるよ。今度、セミナーで講師をやる、成嶋部長だよ。他にも何人か来るみたいだけど、僕も良く知らない人もいるんだよね。」
「ホームパーティされるって、すごいですね。」
そうか、そういう言い方も出来るんだな。
しかし、成嶋のことだ。あえてその言葉を使っていないんだろう。
ホームパーティをバーベキューと言い換えて、親しみを出す、か。
本当に、らしい、ですよね。
「成嶋さんの人脈らしいよ。奥さんはうちの行員なんだ。」
「そうなんですか。ご結婚、されているんですね。」
「成嶋さん、会ったことあるかな?」
「お姿は見たことあります。あと、お電話も取ったことあります。気さくな方ですよね。」
まあ、その気さくが油断できないんだけれども。
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