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「面白そうですね。」
「だろー。お前も噛む?」
「もう!炯さん、真奈さんがびっくりしてるじゃないですか。真奈さん、デッキにどうぞ。皆さん早くからいらしてて、もう出来上がってますけど。びっくりしないで下さいね?」
「そだな。とりあえず、紹介する。」
庭に大きく取られたウッドデッキには、6角形のテーブルが設置されており、その周りには様々な椅子が置いてある。
ビーチか、ホテルのプールにでもありそうなデッキチェアやベンチ、キャンプ用の椅子や、オープンカフェで良く見るような椅子まで。
テーブルの真ん中にもオープンカフェを思わせる、白いキャンパス地の大きなパラソルが日差しを遮っていた。
デッキの奥にはバーベキューセットが設置されており、弁護士の早瀬が塊肉と格闘している。
デッキの逆側は即席らしきカウンターがあり、そこで飲み物を提供するようにしているようだ。
てか、業務用のビールサーバー?家にあるのは初めて見たが。
「榊原課長ー!じゃなかった。今は次長ですよね!」
シェイカーを振っていたのが、久藤だ。
久藤も前の支店の同僚だった。とは言え、成嶋、久藤は1課で『チーム成嶋』と呼ばれていた、メンバーの一人だ。
その、久藤に生飲みますか?と聞かれたが…。
「いや、止めとく。このあと車なんで。久しぶり、だな。」
「お久しぶりです!」
「……。パシリか?」
「違いますよ!僕だって、久々にお声掛けて頂いて……まあ、この始末ですけど。僕、学生の時バーテンダーのバイトしてたんです。そしたら、早瀬先生にやれやれ言われて。あの人無茶苦茶、酒強いんですよ。」
久しぶりだ。
久藤の心からの叫び。
だったら、断ればいいのに、と思うが、結局のところ、兄のように成嶋を慕っていて、面白い。
「僕の婚約者。小笠原真奈さん。お前と同い年くらいじゃないか?」
「僕、3年目です。」
「私は4年目ですね。」
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