6.風呂上がりはコーヒー牛乳だよね

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成嶋の嗅覚の鋭さは独特なのだ。      「妻が、行ってみたいと言うので、僕も遠慮なくお邪魔させてもらったんですけどね。へそくりまで、成嶋さんに暴かれそうな勢いです。」 と苦笑している。 すでに馴染みつつあるようで、いつか、その背景を知りたい。 「成田奏です。」 奥さんだ、という葵の先輩は、印象に残るような綺麗なお辞儀と、人への接し方に慣れている感じだ。 サービス業か?やたらに綺麗だが。葵さんの先輩? 「あ、奏先輩は私の前職の時の先輩なんです。」 取り皿どうぞ、と葵が取り皿と箸を渡す。 「美容部員、だっけ?」 「はい。」 「道理で。お二人共綺麗ですよね。」 思わず、と言った感じの真奈のつぶやきだ。 「真奈さん、ご自身こそ、お美しいんですけど。」 ふふっと奏が笑った。 「女子同士、中でお話ししませんか?外は日焼けしてしまうし。」 真奈が行きたそうな表情だ。 「いいよ。行っておいでよ。」 「はい!」 「指輪、すっごく可愛い!」 「ありがとうございます。実は先程頂いたばかりで…。」 「似合ってますよ。」 奏も、葵も人に気遣いの出来るタイプのようであるので、任せても安心だ。 三人は女子らしく、きゃっきゃしながら中へ入っていった。 「僕もあっちに行きたいです。」 久藤が真顔で言うので、榊原は脳天にチョップを入れておいた。 「あんま、広さがないのがネックなんだよなー。で、今考えてんのは倉庫、なんですけどね。」 「それ、マンションとかより格段に建築費用が抑えられるな。」 「でしょ?さらにそれを法人化することを考えててー。」 どうやら、外のバーベキュー集団は、土地活用の話をしているようだった。 成嶋の発想の自由さはここにもあるのか、と感心する。 このメンバーならば、成嶋の発想をさらに具体的、かつ現実的に固めていくことが出来るのだろう。 「榊原的にはどう?」
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