7479人が本棚に入れています
本棚に追加
/154ページ
その日の泊まりは、成嶋の家からほど近い、会員制リゾートを予約してあった。
会員制リゾートの良いところは、部屋が広いところと、清潔感だと貴志は思っている。
宿泊客も少ないし、団体客が入ることがないので、落ち着いてゆっくり過ごすには、なかなかいい。
下手に別荘では、管理人がいないと手が行き届かないし、年に数回の利用のために管理人を置くのは、合理的ではない、が貴志の考えだ。
だから、親が別荘を買おうと思う、と相談してきた際は、真っ先に反対した。
親が歳をとったら、誰が管理するのだ。
相続するにしても、自分には不要だ。
だとしたら、同じ金額を他に掛けた方がいい、と探してきたのが、今の会員制リゾートだ。
結果、親も兄も気に入って、使っていると、聞いている。
やはり、案内してもらった部屋はベッドのほか、和室も併設されており、二人では若干持て余すくらいの広さだった。
ソファのあるリビングもあるので、通常のホテルであれば、スイートくらいの感覚だ。
立地は海に近くて、尚かつ少し小高目のところにあり、静かで良い。
女性はチェックインの際、好きな浴衣が選べる、との事で先程真奈は受付の女性と盛り上がりながら、浴衣を選んでいた。
男性物は藍色一色、とのことだが、安っぽい白地のペラペラのものでもないので、貴志も備え付けの浴衣を着ることにしていた。
もちろん、ロビーとレストランは浴衣禁止なので、途中階に温泉が配置してある。
15時くらいから、成嶋家で飲み食いしていたので、2人とも満腹の状態だった。
だから、チェックインの際に、お食事はいかがされますか、と聞かれたが、今回は断った。
確か、レストランもコース料理でなかなかに、美味しかったと記憶しているが、仕方ない。
では、是非ラウンジもご利用下さいませ、と笑顔を向けられラウンジか、と思う。
細かい気遣いがありがたい。
部屋に入ると、窓からは海が一望でき、明るければそれも堪能出来るのだろう。
少し高台にあるため、夜景も楽しめる。
「真奈、食事はもういいよね?」
「はい。お腹いっぱいです。」
「お風呂もオススメだけど、その前にラウンジはどうかな?」
「行きたいです!」
最初のコメントを投稿しよう!