2.立てば芍薬、座れば牡丹...

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「では、榊原さん、失礼いたしますわね。お料理はお願いしてありますので、どうぞ楽しんでいって下さいね。」 支社長も、奥様もそう言って部屋を出ていってしまった。 まさか、こんなに早々に二人きりにされるとは思わず、榊原は呆気に取られる。 見合いは初体験だが、こんなものか?! 「申し訳、ありません。」 「はい?」 「多分、父がすごく強引にお願いしたと思うんです。」 何となく人見知りなのだろうという気がする。もの慣れないながらも、一所懸命話している、その様子が可愛くてしようがない。 「大丈夫ですよ。カジュアルにと聞いていましたから、少し驚きましたけど。真奈さんはこういったお食事は、何度かされているんですか?」 貴志は真奈が落ち着けるよう柔らかく、微笑みかけた。 「いえ…。初めてです。本当に今回、いいお相手なので、とすごく強引にされてしまって。ごめんなさい…」 「謝らないで下さい。こちらでお食事された事はありますか?」 「はい。何度か…。母と。」 「じゃ、すごく美味しいのはご存知ですね。お酒は飲みますか?」 「いえ。余り頂けないんです。今日は…やめておきます。」 榊原は元々やり手の営業マンだ。 相手が人見知り、というのはさほど気にならない。 話を引き出すことも、続けることも、全く苦ではないのだ。 「すごく綺麗なお着物ですね?」     
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