7.僕にしか見せない姿を見せて

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7.僕にしか見せない姿を見せて

「すっごく、気持ち良かったです!」 「ゆっくり、出来た?」 「はい。」 湯上りで浴衣姿の真奈は、清潔感のあるシャンプーの香りといい、瑞々しい肌の感じといい、とても心惹かれる。 受付の女性と一生懸命選んでいた、桔梗の柄の浴衣がとても似合っていた。やはり、着物が似合う。 「葵さんと、奏さんと楽しそうだったよね。」 「はい!すっごく。年齢も近くて、盛り上がってしまいました。貴志さんも盛り上がっていたように見えました。今度、女子会しましょうかってなって、ラインとか交換しました。良かったでしょうか?」 真奈がそう聞いていくる。 本当に、気遣いが良く出来る。 「もちろんだよ。真奈もお友達が出来たのなら、良かった。」 「貴志さんはどうでしたか?初めてお会いする方もいらっしゃったのでしょ?」 「うん。僕は業務かと思ったよ。あんなこといつもしてんのかと思ったら、感心した。逆に神経擦り減ったかと思ったね。ほぼ仕事だな。でも、勉強になったよ。成嶋さんと言えども、地道な努力をしていろいろ手に入れてると分かったからね。」 「お勉強…。そうですね。色んな方がいらっしゃいましたもんね。」 「そうだな。」      そう、返事をしながら貴志が、はい、と水の入ったペットボトルを渡すと、ありがとうございますと真奈が受け取る。 てくてく、歩きながら、両手で飲んでいる様子が可愛い。 「もしかして、歩きながら飲めないんじゃないの?」 「実はそうなんです。」 「無理しなくていいのに。」 ほら、と貴志はペットボトルを取り上げる。 エレベーターに乗ると、真奈から密やかなため息が聞こえてきた。 「どうしたの?」 「あの…私、ホントに大人っぽくなくて…。貴志さんに恥かかせていないか、心配になってしまって。」
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