2.立てば芍薬、座れば牡丹...

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「でも、この歳で振袖とか、嫌って言ったんですけど。」 「とても素敵です。お似合いですよ?」 「あ、りがとうございます…」 「今、お勤めはされてるんですか?」 「はい。」 「どちらに?」 「えっと、銀行です。」 ん!? 「あのっ、でも、榊原さんのところじゃないです。信託銀行なんです。そこで事務アシスタントをしています。」 確かに、この感じでは窓口や営業は難しいだろう。 信託銀行は普通の銀行とは少し趣きが違う。そこでのアシスタントとは、営業課員のスケジューリングや、資料を用意したり、書類の作成を担当したりしている、ということだ。 「僕の勤め先のことはご存知なんですね。」 「はい。父から聞いて。」 なんと言うか。 こちらには、情報がほぼきていないのに、先方には貴志の情報をもう握られていたらしい。 「本当にごめんなさい。」 「真奈さん。」 「はい…」 「謝る必要はないんですよ。僕も充分理解して、来ていますから。それより、せっかくですから、お食事頂きませんか?」 「はい。」 真奈自身は、大人しくて、人見知り。そしてこの美貌。 食事のマナーもしっかりしている。 というか、品のある食事の仕方も好みだ。 どれだけ綺麗でも、いざ、食事を始めると品がなかったりしたら、興醒めだ。     
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