8.何もしてないはずはない。

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正直、昔の自分を見ているかのような折り目正しさだ。 眼鏡は本当に度が入っているようだが、生真面目が服着ているような感じ。 「はじめまして。今日はよろしくお願いします。榊原と申します。」 「頂戴します。」 寺崎は落ち着いた態度で、両手で名刺を受け取る。 横で成嶋がくすくす笑っていた。 「うんうん。由緒正しきサラリーマンの名刺交換終わった?」 「はい。最初が肝心と成嶋部長が、おっしゃっていたので。」 真顔だ。 「いや、いいよ。忍ちゃん、最高だな。」 成嶋が笑いを堪えている。 「榊原、柳田くんとか紹介していい?これから、寺崎もオレと一緒に動いたり、スケジュールの調整とかしてもらう予定だから、面識作っておきたくて。」 「ああ、もちろんですよ。葵さんは?」 「初対面だな。」 その返事を聞いて、榊原は柳田と葵に声を掛けた。 「柳田くん、葵さん、すみません。」 はいっ!と2人がいい返事をして、榊原のデスク脇までやってくる。 2人とも名刺入れと、メモを手にしているところは、さすがだ。 「成嶋部長、は当然知ってるよな。部下の寺崎さん。」 寺崎は先程と同じように折り目正しく、挨拶し、2人と名刺交換している。 「寺崎、忍さん…」 「はい。成嶋葵さんですね。本日はよろしくお願い致します。」
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