8.何もしてないはずはない。

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会議室に行くと既にいろいろと設営してあった。 会議室までの道筋の案内、ポスター。 テーブルは定規で測ったかのように真っ直ぐ並んでいて、飲物、ボールペン、 ラインマーカーがセットして置かれている。 受付用のテーブルまで、セッティングが済んでいた。 「あ、成嶋部長、資料の確認と、式次第、見ていただいていいですか?よろしければ、これでコピーしま す。」 と、寺崎がノートパソコンを持ってくる。 「時間割も大丈夫だな?」 「はい。配分は再度よく確認していただいていいですか?あと、資料も間違いないか、確認して下さい。」 「うん。いいよ。よく出来てる。支店長には挨拶はお願いしてあるか?」 「メールではご依頼してありますが、今日はまだです。」 「ん、分かった。じゃ、オレから再度依頼しておくよ。こっちは任せていいか?」 「はい。」 「じゃ、支店長に挨拶行くか、榊原、案内よろしく。」 「優秀ですね。」 感心して、榊原がそうつぶやく。 「と、思うだろ?あいつ、本社で放置されてたんだぜ。」 「え?!」 「暗くて、コミュ障とか言われて。でも、なんか、絶対違う気ぃしてさ、使ってみたらあの通りさ。確かにちょっと神経細かいとこはあんだけど、オレが大雑把だから、逆にすげー助かってる。」 淡々とはしてるけど、人見知りでもないみたいだし、と支店長室に向かう道すがら、そんなことを話してくれた。 まだまだこの人には及ばないな、と思うのはこういう時だ。 支店長室の前に立つと、既に信託の担当者が挨拶に来ている様子だ。     
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