8.何もしてないはずはない。

8/9

7481人が本棚に入れています
本棚に追加
/154ページ
「あ、えっと、成嶋部長は信託の支店長はご存知かな。こちらが、今日の講師のコンサルティングの成嶋部長です。あと、渉外課を取り仕切っている次長の榊原です。」 支店長ともう1人来ていた社員と名刺交換をする。 誰だ?改めて名刺を確認すると営業マンのようで、肩書きは課長代理になっていた。 柏木...。 なぜ、僕を熱い目で見てくるんだろう。 こいつ、ヤバイやつじゃないよな。 「聞いたよー!榊原次長、先程の小笠原さんのお嬢さんと婚約してるんだって?」 情報、早いな…。 「支社長が、仲人するなら自分だとか言って。」 誰もそんなこと言っていない。 「婚約が決まったのはつい先日です。」 こういう話は隠されると暴きたくなるが、堂々とされると、白けるものだと分かっている。 なので、榊原は堂々と答えた。 先程、真奈の指に婚約指輪が光っていたのをしっかり見たし。 「うちでも、誰が射止めるかと思っていたけどね。まさか、こちらの次長とは...。」 「あ、いや、榊原くんは...」 ストップだ! 「支店長、恐れ入りますが準備があるので、失礼させていただいてよろしいですか?そちらのお2人はどうされますか?」 榊原は並んで座っている2人の営業に笑顔を向けた。 「お手伝いします!」 担当者がそう言うと、もう1人の柏木とか言うやつもしぶしぶ席を立った。 なんだ、こいつ...。 会議室ではさらに設営の準備が進んでいた。 正面にはプロジェクターが設置されており、スライドも調整されている。     
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7481人が本棚に入れています
本棚に追加