番外2:葵ちゃんのにのにぶんのいち

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会社に帰ってきたころ、ふと、携帯を見たら炯からのラインが入っている。 『お客様との食事がキャンセルになったから、一緒にメシ行こう。』 葵はつい、微笑んでしまった。 結婚したとはいえ、炯は忙しい。 意外と休日も仕事絡みで動いていたりして、なかなか2人でゆっくり過ごす時間がないのだ。 特に、今の会社に移ってからは、更に忙しそうに見える。 平日もお客様との食事や仲間との食事で、ほとんど家では食べない。 もちろん予想はしていたが、たまにこのようなお誘いがあると、嬉しくなってしまう。 炯のリクエストは、最寄り駅の炉端焼きの店だった。 現地集合で、早い方が先に注文をしておく、が成嶋家の今のルールだ。 葵が店に入ると、顔馴染みとなった大将が、奥の席を用意してくれる。 2人きりだと、炯が静かな席を好むからだ。 おススメを聞きながら、注文していると、炯がやってきた。 「お疲れ。」 「お疲れ様でした。」 ひと息ついたところで、最近どうか?という話になる。 「あ、今度炯さんのセミナー、私、行く事になりました。」 「どういうことかな…?」 「なんか、うちのエリアでもやるらしいです。セミナー。」 「へぇ?」 他人事のようだ。 「で、取り回しのところを私に、と依頼がありまして。」 「無理すんなよ。」 「はい。」     
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