番外2:葵ちゃんのにのにぶんのいち

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以前、この榊原に好意を持ってもらったこともあるが、葵にしてみれば、一時の気の迷いだったのだろうと思える。 先日、家に来た榊原の婚約者は、本当にお人形のように可愛らしくて、話してみると、育ちの良さが分かるようなお嬢様だった。 お似合いの2人だったな…。 「柳田くん。」 「はいっ!」 榊原が言うには、柳田が今回のセミナーの取り回しを担当していて、彼に詳しく聞いてくれ、ということだった。 柳田の話は聞いたことがある。 榊原の部下に使えそうなのがいる、とか言っていた。 そうか、この人か、と思う。 葵はにっこり笑いかけた。 「柳田くん、こちらは成嶋葵さんです。今度、成嶋さんのエリアでもセミナーをやりたいそうで、勉強のために今日は研修に来られてます。案内をよろしくお願いします。」 「はいっ!」 元気いいなあ。 物怖じしないところが炯のお気に入りポイントなのだろう。 「よろしくお願いします。」 と葵が頭を下げると、 「柳田くん、先に言っておくけど、彼女は成嶋部長の奥様だから。」 榊原の突然の宣言だ。 「はっ、はい?!」 突然で驚く、が、柳田はもっと驚いたようで、返事をした声が裏返っていた。 そんなに、驚かなくても…。 「あの、それ内緒でお願いします。」 口元に人差し指をあてて、目を笑ませる葵だ。     
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