9.殺さないよ。ただ、死にたいと思うくらいの目に合わせるだけ

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おいでと真奈の肩を抱いて、応接室に連れていった。 「大丈夫?何があったの?」 「あ、あの方が私に個別相談出来るんだよねとおっしゃって。私、はいと答えて担当者に繋ぎますと言ったんです。そしたら腕を掴まれてしまって、あんたでいいんだと言われて…」 怖かった…と目を伏せている。 「真奈。ごめん。」 貴志はぎゅっと真奈を抱きしめた。 「貴志さんは悪くないです!」 「あいつ、ぶっ殺す。真奈をこんな目にあわせるなんて。いや、殺さなくていいか、むしろ死にたいと思うくらいの目に..」 低い声で言ったら、真奈には聞き取れなかったようで。 「え?」 「なんでもない。真奈は気にしなくていいんだよ。大丈夫だった?」 「はい…」 「何事もなくてよかった。」 でなかったら、あいつマジで生きては帰れなかったからな。 「しばらく、ここにいて?」 「あ、でもお仕事が…。」 「大丈夫。僕から言っておくから。」 ね?と顔を覗き込むと、真奈はこくんと頷いた。 こんこんと応接がノックされた。 「葵です。」 ひょい、と葵がドアから顔を出す。 「ああ、ちょうど良かった。」 「あの、榊原次長、成嶋が…、」 「分かりました。今行きます。お願いしていいですか?」 「はい。」 その場を葵に任せて、貴志は応接の扉を閉める。 ふぅっと、大きく深呼吸した。     
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