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おいでと真奈の肩を抱いて、応接室に連れていった。
「大丈夫?何があったの?」
「あ、あの方が私に個別相談出来るんだよねとおっしゃって。私、はいと答えて担当者に繋ぎますと言ったんです。そしたら腕を掴まれてしまって、あんたでいいんだと言われて…」
怖かった…と目を伏せている。
「真奈。ごめん。」
貴志はぎゅっと真奈を抱きしめた。
「貴志さんは悪くないです!」
「あいつ、ぶっ殺す。真奈をこんな目にあわせるなんて。いや、殺さなくていいか、むしろ死にたいと思うくらいの目に..」
低い声で言ったら、真奈には聞き取れなかったようで。
「え?」
「なんでもない。真奈は気にしなくていいんだよ。大丈夫だった?」
「はい…」
「何事もなくてよかった。」
でなかったら、あいつマジで生きては帰れなかったからな。
「しばらく、ここにいて?」
「あ、でもお仕事が…。」
「大丈夫。僕から言っておくから。」
ね?と顔を覗き込むと、真奈はこくんと頷いた。
こんこんと応接がノックされた。
「葵です。」
ひょい、と葵がドアから顔を出す。
「ああ、ちょうど良かった。」
「あの、榊原次長、成嶋が…、」
「分かりました。今行きます。お願いしていいですか?」
「はい。」
その場を葵に任せて、貴志は応接の扉を閉める。
ふぅっと、大きく深呼吸した。
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