謎の戦闘員

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 齢50を数え、頭髪には白いものが目立ちはじめていたが、その肉体は鍛えた筋肉が盛り上がり、どんな困難にも打ち勝てるような力強さがあった。  30センチはあろうかとおぼしきサイズの足を踏み出し向かったのは、マンションの一階住民用の庭だった。ちょうど403号室の真下で、見上げるとベランダが幾層にも重なって見えた。  先端に鍵爪を付けたロープを上に向かって投げた。鍵爪が二階のベランダにひっかかったのをロープを引いて確認すると登りはじめた。どうやら師茂丙兵衛は403号室にベランダから侵入しようという気でいるようである。  二階のベランダに至ると、大柄な体躯をいかしてさらの三階へと体を引き上げていく。ボルダリングの選手のような、それは見事な手際であった。
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