無敵の勘違いがやってきた

暴れん坊植物

「うわわ、これじゃ布団をしまえない」
　レジデンス茜台４０３号室で、地球人に化けた宇宙人、ルケルケ・７・トーは情けない声をだした。その視線の先にあるのは、ベランダで猛威をふるう観葉植物であった。
　もちろん、ただの観葉植物ではない。宇宙人の母星に自生する植物だ。１メートルほどの丈に育ったそれが、枝を振り回し、手近な植木鉢を捕まえると、放り投げたのだ。幸い投げた方向がベランダの外だったので、ルケルケ・７・トーが怪我をすることはなかったが、近づくものを攻撃するのでうっかり近寄れない。干してあった布団も取り入れられないとルケルケ・７・トーは嘆く。
「なんでこいつがこんなに凶暴になるんだよ？」
　そう言ったのは、この部屋に住むもう一人の宇宙人、ガニガニ・９・ボーテであった。二人の宇宙人は先輩・後輩の間柄で、この部屋に住みながら人知れず地球人と地球文化について調査しているのだ。