『何の変哲もない一日』

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『何の変哲もない一日』

 オルランドはいつも通り、鶏の鳴き声で目が覚めた。 「そうだ、丸焼きを作ろう」  今日はレタスの荷卸しの日だった。顔を洗うのもそこそこに、朝食のパンを咥えながら収穫作業をし、下の町の業者にいつもどおり売りつけると、その金でジャガイモやニンジンなど野菜や香草、スパイスを買った。途中で頼まれごとをいくつかこなし懐もあったかくなってきたところで、彼は家に戻った。彼の腹はすっかり鶏を入れたがっていた。しかし丸焼きにするには時間がかかる。食べられるようにするにはもっと時間がかかる。  彼は鶏小屋にて肉付きのいいもの二匹を引っつかみ外に出すと、一思いに首をひねり、血を抜き、湯につけた。一匹は丸焼き、もう一匹はばらばらにする予定だ。  鶏を食べるためにも一日仕事で、食べられるのは翌日だと彼はよくわかっていた。 「腹が減った」  のんきにそんなことを言いながら、彼は手を赤くしながら羽をむしっていた。開いているかまどでジャガイモをゆでながら、彼は何も考えていなかった。     
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