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「行くのか」
「ああ。食べたいならお前も来るんだ」
外は風が静かだった。鳥の丸焼きと付け合わせを籠に入れ、オルランドは戸締りをしほうきに乗って飛び立った。
「私は先に行っているからねー!」
そう叫んだあと、メルランの姿はすでになかった。彼は気にせずに病院へ向かって飛んだ。太陽は沈み始めていた。
「こんにちは、オルランドですが」
病院のオリヴィエの部屋の戸を四回ノックして、他人行儀にオルランドは言った。
「よく来たな、さあ入れ。先に師匠も来ている」
わずかなランプの明かりに照らされた部屋に、彼はほうきを抱えて入った。
「あの人にいきなり家に入ってくるなって言っといてくれ」
「言っても聞かん人だ。諦めろ。オーブンはどこだ」
「知らん、家内に聞いてくれ」
「この家に住んでいるとは思えない言い草だ」
彼はオリヴィエの妻にオーブンを借り、鶏を丸焼きにした。
「たいしたものね」
「独り身だと、なんでも一人でやるようになるんだ」
「確かに、そうね」
相変わらず仲が良いのか悪いのかわからない夫婦だと、オルランドはオーブンの中を覗き込みながら思った。
「何か手伝うことはないか」
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